「I was dead.」「Me too.」(「月の輝く夜に」より)
MY DVD:「MOONSTRUCK:月の輝く夜に(1987年製作)」発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ DL-56265
「月の輝く夜に」は、英語で楽しめるイタリア映画っていう感じです。原題の「MOONSTRUCK」は、「気がふれた、感傷で心が乱れた」という意味です。月が狂気をもたらすという迷信、もしくは信仰のようなものが欧米にはあるようです。
昔、フランス映画は男女を描き、イタリア映画は家族を描くと言われた時代があったように思います。この映画は、ロマンティック・コメディなんですが、やはり男女の仲も家族がからんで描かれていますね。
舞台はニューヨーク。亭主と死別して独身を通していた主人公ロレッタは、友人のジョニーから求婚される。ジョニーには仲違いから長年連絡を取っていない弟ロニーがいた。ジョニーはロレッタにロニーを結婚式に呼ぶため、必ず連絡を取って欲しいと依頼して、危篤状態の母を見舞うため、一人イタリアへ発つのだった。一方ロニーは今もひどく傷ついた状態だった。ロレッタもロニーも心を閉ざして生きてきたのであったが、二人が出逢ったとき、月の狂気がゆえなのか、止めど消せぬ恋の炎が立ち上がるのでありました。
ロレッタは結婚することを父・コズモに報告し、父とともに2階で休んでいる母・ローズのもとへやって来ます。
「起きろ。」
「誰が死んだの?」
「ロレッタが結婚する。」
「また?」
(「ああ。」)
「ジョニーね。」
「虫が好かん。」
「当人の問題よ。愛してるの?」
「別に。」
「ホレたら振り回されるわ。」(日本語字幕より)
「Rose.」
「Who's dead?」
「Nobody. Loretta's getting married.」
「Again?」
「Yeah.」
「Johnny Cammareri.」
「I don't like him.」
「You're not gonna marry him, Cosmo. Do you love him?」
「No.」
「Good. When you love them, they drive you crazy...'cause they know they can. 」(英語字幕より)
なんだか、この家族どうなってんのといいたくなるような会話が続きます。
元気のなさそうなローズさんですが、だんなの浮気癖に長年悩まされたようで、今もだんなはどうも浮気をしていると感づいているようなのです。ローズさんの「結婚観」は、ちょっと傾いているような感じです。
「drive + 人 + 状態」で、「人をある状態に追いやる」となるようです。
「ローズ。」
「誰が死んだの?」
「誰も。ロレッタが結婚する。」
「また?」
「ああ。」
「ジョニー・カマレーリ。」
「やつは好かん。」
「あなたが彼と結婚するのじゃないのよ、コズモ。彼を愛してるの?」
「いいえ。」
「良かった。男どもを愛しでもしたら、やつらお前の気を狂わせてしまう。なぜなら、やつらはそうできると知ってるのよ。」
ロレッタは、ジョニーに促され、ロニーの働くパン屋さんを訪ねます。
ロニーは、心も声も言葉も、そして態度も暴力的でした。左手を失ったのも、恋人を失ったのも兄のせいだと怒りをぶちまけます。まるで、開けてはならない扉を、ロレッタが開けてしまったかのようです。ロレッタはなんとかしたくて、ロニーの住まいに乗り込みます。しかし、ロニーに「君には分からんさ」と言われたとき、彼を「狼」だと言ってしまいます。
「あなたは、利いたふうに言うけど、真実を見ていない。恋人のこともそうよ。私に言わせると、あなたは狼なの。」
「俺が?」
「ほかに言いようがないわ。あなたは狼で、彼女は罠。罠を外すために、前足をかみ切ったの。自由への代償よ。彼は関係ない。あなた自身の問題よ。罠に捕まるより、足を失うほうを選ぶ人だわ。だから、あなたは罠を恐れて、恋人を作ろうとしないのよ。痛みを繰り返すのが怖いのね。」
「何だと。」
「図星でしょ。」
「なぜ兄貴と結婚を?」
「運がないの。」
「俺は兄貴のせいで、手を無くしたんだ。君も首を切られるぞ。」
「花嫁になりたいの。」
「首なしのか?」
「前足のない狼!」
「やめてよ!」
「何すんの。」
「あのヤロー!」
「どこ行くの?」
「ベッドだ。」
「こうなったら好きにして。構わないわ。」
「まさか、君と。夢中だ。」
「私も。」
「兄貴は?」
「彼への怒りを私にぶつけて。私のすべてを奪いつくして。」
「兄貴には、何も残してやるもんか。」(日本語字幕より)
「You tell me the story, and you act like you know what it means... but I can see what the true story is and you can't. That woman didn't leave you, okay? You can't see what you are, and I see every thing. You're a wolf.」
「I'm a wolf?」
「Yeah. The big part of you has no words, and it's a wolf. That woman was a trap for you. She caught you, and you couldn't get away... so you chewed off your own foot. That was the price you had to pay for your freedom. Johnny had nothing to do with it. You did what you had to do between you and you. And now you're afraid... Because you know the big part of you is a wolf... that has the courage to bite off its own hand... to save itself from the trap of the wrong love. That's why there's been no woman since that wrong woman. Okay? You're scared to death of what the wolf will do... if you make that mistake again.」
「What are you doing?」
「I'm telling you your life.」
「Stop it.」
(「No.」)
「Why are you marrying Johnny? He's a fool!」
「Because I have no luck.」
「He made me look the wrong way, and I cut off my hand! He could make you look the wrong way. You could lose your whole head!」
「I'm looking where I have to become a bride!」
「A bride without a head!」
「A wolf without a foot!」
「Wait a minute! Wait a minute!」
「What are you doing?」
「Son of a bitch!」
「Where are you taking me?」
「To the bed.」
「Oh, God. Okay, I don't care. Take me to the bed. I don't care a about anything.」
「I don't believe this is happening.」
「I was dead.」
「Me too.」
「What about Johnny?」
「You're mad at him. Take your revenge out on me. Leave nothing left for him to marry. Leave nothing but the skin over my bones.」
「All right. There will be nothing left.」(英語字幕より)
ところで、この会話のちょっと前に、日本語字幕からは省略されてますが、
「Then he gets hit by a bus.:彼はバスに轢かれたの。」
とあります。ロレッタの前のだんながなんで死んだのか良く分からなかったのですが、交通事故だったのですね。
さて、ロニーに失恋のことは「君には分からんさ」と言われ、ロレッタは、自分の不幸を話したあと、ロニーが死をもってしても名誉を守る「狼」であるとその正体を明かして見せたのですが、どうやらロニーは好きな女性に襲いかかる「狼」の正体の方を甦させていたようです。足をかみ切る狼と女の罠とは良い発想だったと思うのですが、満月を迎える日に「狼」はまずかったのか。事態は思わぬ展開を見せます。
「The big part of you has no words」は訳しにくいところです。「have no words」は後に「for」や「to」がついて、言葉でうまく表せない」という意味になります。例えば、主語が「私」なら、「I have no words for it.」などのように、「うまく言えない」となります。「あなたの大きな部分」は「あなた」に違いないのだから、「you have no words」と考えやすいように書き換えて、「あなたはうまく言えてない」は、それらしく聞こえます。しかし、あまり考えすぎないで、「言葉を持ってない」というところで考えても良さそうです。今度は主語の方に注意を向けてみて、「part of you」で捜してみると、「part of one」で「〈人の〉心の奥底」と言う意味もありました。そこで、ロニーの心の大きな闇の部分というふうに考えてみます。すると、「あなたの中の大きな部分は言葉を失っている」とも言えます。セリフの後半で、「the big part of you is a wolf」と言っているので、冒頭の部分も「the big part of you」を説明していると考えた方が良さそうです。
「chew 」は「咬む」ことなので、特に成句としてありませんが、「chew off」は「かみ切る」ことだと分かります。いわゆる「ガム」である「チューイング・ガム」の「チューイング」は、「chewing」から来ているみたいですね。それと、「bite」も「咬む」ことで「bite off」も「かみ切る」ことです。ところで、「chew」は「かみ砕く」意で、「bite」は「かみつく」意のようです。ですから、辞書に面白い文章が紹介されていました。「Don't bite off more than you can chew.」、つまり「かみこなせない以上のものをかみ切るな」で、「消化できない量の仕事を引き受けるな」という教えになっていました。
「price」には「代価、代償」という意味があります。元々は、品物の「価格、値段」という意味です。他の同類語を集めると面白いです。サービス料金は「charge」、乗物の料金は「fare」、費用は「cost」、知的専門職に対する謝礼は「fee」だそうです。勉強になりますね。話を戻しますと、「代償」で使いたいときは、「the price you have to pay for ~」というのを覚えるといいみたいです。辞書にも用例として「The failing mark is the price you have to pay for your laziness.」がありました。「落第点が君の怠慢に対する代償である。」となってました。
「way」には、「(進むべき将来の)方向、(選択すべき)進路」という意味があるようです。ここでの「He made me look the wrong way」はそんな意味を使っているようです。直訳風にすると、「彼は私を間違った方向へ見るようにしむけた」となりそうです。そして「could」を使った仮定法で、「He could make you look the wrong way:やつは君を間違った方向を見させることができるだろう」などと言うわけです。それに対し、ロレッタは同じ「look」を使って、「I'm looking where ~」と反論しているわけです。余談ですが、一方通行の出口側には「WRONG WAY」と標識が書かれているそうです。
「I was dead.」、「Me too.」は、納得のセリフですね。二人は互いに、輝く相手とたった今出逢い、過去の自分をたった今捨てたのでした。ふたりの心情をとっても良く表していますね。残念ながら、日本語字幕の中に埋もれてました。
「take out O1 on O2」は「O1〈怒りなど〉をO2〈人・物〉にぶつける」とありました。また、「revenge」は常に「on」を使って、相手を示すようです。それぞれの例を示しますと、「She took her mistakes out on her racket:彼女は自分のミスをラケットに八つ当たりした」(この場合は、take O1 out on O2ですけどね)、「He revenged his father's death on his uncle:彼は叔父に父の死の復讐を行った」。
以上から、次のように訳してみました。ああ、なんという熱情なんでしょうか。
「あなたは私に話をして、それが意味していることを分かったかのように振るまってる。でも、私にはほんとうの話が分かるけど、あなたにはできてない。あの女はあなたを置き去りにしたんじゃないわ、いい? あなたにはあなたがなんなのか分からないけど、私には何もかも見えるわ。あなたは、狼なの。」
「おれが狼?」
「そう。あなたの中の大半の部分は言葉を失っているわ。それは狼なの。あの女はあなたにとっては罠だった。彼女はあなたを捕らえて、そしてあなたは逃げられなくなった。だから、自分で脚をかみ切ったの。あれは、自由のために支払わなければならなかった代価だったのよ。ジョニーは関係なかった。あなたは自分と自分の間ですべきことをやっただけ。そして、今は恐れているのね。なぜなら、あなたの中の大きな部分は、誤った愛の罠から自分を救うためなら、自分の手を噛み切る勇気を持つ、狼だとあなた自身知っているから。これが、あの間違った女以来、女性がいない理由なのよ。いい? あなたがあのような間違いをまた犯すなら、狼がするだろう死を恐れているのよ。」
「あんたはなにをしてんだ?」
「あなたに、あなたの人生を語ってるのよ。」
「やめろ。」
(「イヤよ。」)
「なんでジョニーと結婚する? あいつはまぬけ野郎だぞ!」
「私に運がないからよ。」
「やつは、俺に間違った方へ向けさせた。そして、俺は自分の手を切ってしまった! やつは、あんたも間違った方へ向けさせるだろう。あんたは、頭全部失うことになるぞ!」
「私は、花嫁になるべき方を向いているわ!」
「首のない花嫁だ!」
「脚のない狼よ!」
ロニーは、テーブルをなぎ倒し、ロレッタを抱きよせ、キスをする。
「待ちなさい! 待ちなさいよ!」
しかし、ロレッタもロニーにキスをする。ロニーはロレッタを抱き上げる。
「何をするの?」
「ちきしょう!」
「どこへ連れていこうとしてるの?」
「ベッドへ。」
「ああ、神様。いいわ、構わないわ。ベッドに連れて行きなさいよ。もう、なにも気にしないわ。」
「こんなことが起こってるなんて、信じられない。」
ロニー、ロレッタをベッドに寝かせる。
「俺は、死んでた。」
「私もよ。」
「ジョニーはどうなる?」
「あなたは彼にものすごく怒ってる。その恨みを私にぶつけて。結婚する彼には何も残さないで。骨の上の皮以外は何も残さないで。」
「よし。何も残さないぞ。」
ロレッタの「狼恋愛論」では「狼」が犯しかねない「死」の実行を恐れて、ロニーは恋人を作れなかったのですが、ローズさんの「人間の繁殖行動における根源論」によると、「死への恐怖」こそが男の熱情の根源となるようです。
「男が女を追う理由。」
「本能かな。」
「死への恐怖よ。」(日本語字幕より)
「Why do men chase women?」
「Nerves?」
「I think it's because they fear death.」(英語字幕より)
一方、若い教え子といつも破局を繰り返す落ちぶれた教授は、ローズに会って、素直な少年に戻ったかのようです。そして、告白とも取れる、空蝉のような自分の存在を映した、今の自分の虚ろな恋愛の遍歴を語るのでした。
「彼女は僕の正体を見破り、月光のような自分の美しさに気がつくんだ。」(日本語字幕より)
「Then she catches on that I'm just this burnt-out, old gasbag... and she's as fresh and bright... and full of promise as moonlight in a martini.」(英語字幕より)
「catch on」で「理解する、受け入れる」。「burnt-out」は「burned-out」と同じで、「燃え尽きた、疲れ切った」の意。「gasbag」は「ほら吹き、おしゃべりな人」。「promise」は「有望」。
「それから、彼女は私がただの燃え尽きた人間で、年老いたほら吹きだと見破るのさ。一方、彼女はマティーニに浮かぶ月光のように、新鮮で、聡明で、大いに前途を嘱望された存在なんだ。」
こちらは、日本語字幕の方が、とっても詩的。
さて、ロニーとロレッタは約束のオペラを観て、それなりの時間を過ごしました。しかし、ロニーはまだ目覚めた「月夜の狼」のままなのでした。
「ママは浮気に気づいている。相手の女もふしだらね。私と同じ。」
「何が?」
「分かるでしょ。」
「俺のせいか?」
「私たちは同罪よ。」
「裁けるのは神様だけだ。」
「つらいわ。」
「なぜだ? 今度は僕が、君について話そう。君が子羊なら、狼を求めやしない。求婚に、軽く飛びつくな。君に妥協は似合わないよ。愛せる男が現れるのを、なぜ待てなかった。」
「あきらめたの。」
「俺がいる。」
「遅いわ。あなたの家ね。誘う気で? 約束したはずよ。オペラに付き合ったら、すべて忘れると。私は結婚するわ。それで終わり。人は破滅を経験して、自分の人生を守る方法を学ぶのよ。あなたを好きでも、関係ないわ。感情くらい抑えられる。自分を破滅させるものには、近づかないわ。そうしなきゃ、人生の意味なんてないわ。聞いてる?」
「君と愛し合うことだけが望みだ。君と僕とが、地獄の業火に焼かれようとも構わない。過去も未来も、僕には重要じゃない。大切なのは、今の君と僕なんだ。」
「帰るわ。離して。凍え死ぬわ。」
「中に入ろう。何でもいいから入れ。ごめん。ロレッタ、愛してる。ウソだったんだ、愛が人生を輝かせるなんて。人生を破壊し、心を傷つける。それは僕たちが、完璧じゃないからだ。雪は完璧だ。星も完璧だ。僕たちは違う。自分たちで破滅に向かい、心を傷つけている。愛に苦しみながら、人生を終える。おとぎ話とは大違いだ。僕の部屋に行こう。そして、愛し合おう。おいで。さあ。」(日本語字幕より)
「You know, my mother guessed that my father was seeing somebody. That Mona... I mean, she's some piece of cheap goods. Who am I to talk?」
「What's the matter?」
「How can you ask me that?」
「You're making me feel guilty.」
「You are guilty. I'm guilty.」
「Of what? Only God can point the finger.」
「I know what I know.」
「And what do you know? You tell me my life. I'll tell you yours. I'm a wolf. You run to the wolf in me. That don't make you no lamb. You're gonna marry my brother. Why you want to sell your life short? Playing it safe is just about the most dangerous thing... a woman like you could do. You waited for the right man the first time. Why didn't you wait for the right man again?」
「Because he didn't come.」
「I'm here.」
「You're late. This is your place.」
「That's right.」
「This is where we were going.」
「Yeah.」
「You know, we had a deal. You told me if I came with you to the opera then you'd leave me alone forever. I came with you. Now I'm gonna marry your brother and you're gonna leave me alone forever, right? A person can see where they've messed up in their life and they can change the way they do things and they can even change their luck. So maybe my nature does draw me to you. That don't mean I have to go with it. I can take hold of myself. I can say yes to some things and no to other things that are gonna ruin everything. I can do that. Otherwise, you know what good is this stupid life that God gave us? Are you listening to me?」
「Yeah. Everything seems like nothing to me now. I guess I want you in my bed. I don't care if I burn in hell. I don't care if you burn in hell. The past and the future is a joke to me now. I see that they're nothing. I see they ain't here. The only thing that's here is you and me.」
「I want to go home. I'm going home. I'm freezing to death.」
「Come upstairs. I don't care why you come. That's not what I mean. Loretta, I love you. Not like they told you love is. And I didn't know this either. But love don't make things nice. It ruins everything. It breaks your heart. It makes things a mess. We aren't here to make things perfect. The snowflakes are perfect. The stars are perfect. Not us. We are here to ruin ourselves and to break our hearts and love the wrong people and die. I mean, the storybooks are bullshit! Now, I want you to come upstairs with me and get in my bed! Come on.」(英語字幕より)
人はたくさんの理屈がいるのですね。そして、それでいて、心のままに生きられるのなら、生きたいと願ってるものなんでしょうか。ほんとは心のひらめきが先で、理屈はあとから来るものじゃないかと思ってるのですが。
「That don't make you no lamb.」は不可解です。つまり、狼のもとへやってきたが、狼の餌食である、子羊の肉片にはならなかったという例えのようです。ロレッタは頑なに自分のものになろうとしないことを言ってるようです。
「Playing it safe is just about the most dangerous thing... a woman like you could do. 」も分かりづらいですね。「安全にそれを遊ぶということは、最も危険なことについてのことだ。君のような女がしそうなことだ。」って、要は「やってることは、君らしくない」ってことのようなんです。「君のような女なら、最も危険なことにだけ無難な妥協をするものだ。」って、言えそうなんですが、どうでしょうか。
「We aren't here to make things perfect.」これもなんだか訳しにくいですね。「here」には「この世、現世」って意味もありますから、「我々は物事を完璧にするためにこの世にいるわけではない」と言えなくもないです。二人が出逢って、完璧じゃないから一緒にならないという考えが間違ってることを言いたいのかも知れませんね。恋愛はロマンチックな星や雪が必要かも知れないけど、愛や人生が星や雪みたいというのは間違っているのかも知れません。ロニーはただ、人生をぶち壊しているだけの存在ではなくなったのかも知れません。壊したいのはロニーやロレッタを縛っているものであって、必要なのはロレッタの愛だと分かっているのだから。そうでなければ、ロレッタがロニーの愛に応えたわけが見つかりません。
「ねえ、母は父が誰かと会っていることを感づいているわ。あのモナ...、つまり、彼女は安物の中の片割れなのよ。あれ、誰としゃべってるのかしら?」
「どうかしたか?」
「よくまあそんなことが聞けるわね?」
「君は俺に罪を意識させてようとしてる。」
「あなたは罪を犯した。私も罪を犯した。」
「なんの? ただ神だけが、指さすことができるんだ。」
「私は私が何を知ってるか、知ってるわ。」
「それで君は何を知ってる? 君は僕の人生を語った。僕が君のを話そう。僕は狼。君は僕の中の狼に駆け込んできた。だからと言って、それで君が子羊の肉になったわけじゃない。君は兄と結婚しようとしている。自分の人生の安売りを望む理由は?君のような女なら、最も危険なことにだけ無難な妥協をするものだ。最初は君もふさわしい男を待った。なぜもう一度ふさわし男を待てないんだ?」
「そんな男は来なかったからよ。」
「俺がここにいる。」
「遅いわよ。...ここはあなたの家じゃない。」
「そうだ。」
「ここに向かって来たのね。」
「ああ。」
「わかってるでしょ。私たちは取引したわ。あなた言ったわよ、もし私があなたとオペラを観たら、それっきり私に近づかないと。私はあなたに付き合った。さあ、私はあなたの兄さんと結婚するし、あなたは私から永遠に去る、いいわね? 人は、人生の中でしくじったことが分かるし、物事をやる方法を変えることができる。また運さえも変えることができるのよ。おそらく私の本性が私をあなたに引き寄せたのかもしれない。しかしそれは、そのことに付き合わなくてはならないという意味ではないのよ。私は私を確立することができるわ。私はいくつかのことにイエスと言えるし、すべてを台無しにするその他のことにノーと言えるわ。私はそうできるの。そうでなければ、良いことというのが、この神が与えたくだらない人生ってことになるわ。あなた聞いてる?」
「ああ。すべては俺に取っちゃ意味ないってことだ。俺は君をベッドに欲しいみたいだ。たとえ地獄で燃えてもかまわない。たとえ君が地獄で燃えようとかまわない。過去も未来も俺にとっちゃジョークだ。それらにはなにもないのが分かる。それらはここにはないんだ。ここにあるただひとつのことは、君と俺だ。」
「家に帰りたいわ。家に帰るの。凍えて死にそうよ。」
「2階に来るんだ。君が来てくれる理由はなんでもいい。それは俺が意味することじゃない。ロレッタ、君を愛してる。みんなが言ってるような愛じゃないようにだ。それにそのことも知らない。しかし、愛は物事をすてきになんかしない。それはすべてをむちゃくちゃにしちゃう。それは君の心を打ちのめす。それは物事を台無しにする。俺たちはここで物事を完璧にはできない。雪片は完璧だ。星は完璧だ。でも俺たちはそうじゃない。俺たちは自分自身を台無しにして、心を打ちのめし、間違った人を愛し、そして死ぬためにここにいる。つまり、物語なんてたわごとだ。さあ、君に2階へ俺と来て欲しいんだ。そしてベッドで寝よう! 来てくれ。」
ローズさんは、「死の概念に翻弄される男性の性とその行動における考察」の結論を急いでいるようであります。キーワードは、「複数の女性」だったのかな。
「ジョニー。聞きたいことがあるんだけど、正直に答えて。なぜ男は女を追うの?」
「聖書にある。神は、アダムの肋骨でイブを造った。男は自分の骨を捜している。胸にポッカリと穴が開いているんです。最初はなかった。女性はその穴を埋めてくれる。男は女がいないと、完全な人間にはなれない。」
「なぜ複数の女性を求めるの?」
「さあ。死への恐怖かも。」
「そうよ。その通りよ。」
「確信はない。」
「間違いないわ。答えてくれて、ありがとう。」(日本語字幕より)
「Listen, Johnny, there's a question I want to ask. I want you to tell me the truth, if you can. Why do mean chase women?」
「There's the Bible story. God took a rib from Adam and made EVE. Now maybe men chase women to get the rib back. When God took the rib... He left a big hole there a place where there used to be something. And the women have that. Now maybe, just maybe, a man isn't complete as a man without a woman.」
「Why would a man need more than one woman?」
「I don't know. Maybe because he fears death.」
「That's it. That's the reason.」
「I don't know!」
「Thank you for answering my question.」(英語字幕より)
ローズさんは、論理家だけでなく、実践派でもあったようです。しかし、むしろ卓越しているのは、だんなの方かも知れません。
「どうあがいても、死は必ずやってくるわ。」
「ご親切に。」
「お礼はいいわ。」(日本語字幕より)
「I just want you to know no matter what you do, you're gonna die just like everybody else.」
「Thank you, Rose.」
「You're welcome.」(英語字幕より)
ツキも捨て、今ある罪深き自己をあるがままに受け入れる喜びを、愛の喜びと共に知ってしまったかのようなロレッタも、ジョニーがすぐ近くにいることは受け入れがたかったようです。
しかし、「奇跡」と「現代」の矛盾の解決法として、シチリアの中世論は卓越してると感じ入りました。なかなかの論客のおふたりです。
「どうしたの?」
「分からない。」
「髪が違う。」
「生まれ変わったの。」
「酔ってるの?」
「ママは?」
「気分だけ二日酔い。」
「パパは?」
「2階よ。昨晩、ジョニーが来たわ。」
「彼はシチリアのはずよ。お母様の看病で。」
「治ったの。」
「危篤だった。」
「奇跡よ。」
「この現代に奇跡を信じろと?」
「シチリアは中世なのよ。彼は話があるそうよ。首筋にキス・マークが。もうじき彼がやって来るわ。洗面所に行って、お化粧で隠しなさい。」
「分かったわよ。ママも手伝って。」
「急いで...」
「出て。」(日本語字幕より)
「What the hell happened to you?」
「I really don't know where to start.」
「Your hair's different.」
「Ma, everything is different.」
「Are you drunk?」
「No, are you drunk?」
「No, but I have a hangover.」
「Where's Pop?」
「Upstairs. Johnny Cammareri showed up last night.」
「What? He's in Sicily.」
「No more he's not.」
「He's with his dying mother in Sicily.」
「She recovered.」
「She was dying.」
「It was a miracle.」
「This is modern times. There ain't supposed to be miracles no more.」
「I guess it ain't modern times in Sicily. He came right from the airport to talk to you. You got a love bite on your neck. He's coming back this morning. What's the matter with you? Your life's going down the toilet! Cover up that thing! Put makeup on!」
「All right!」
「Ma, okay, fine! But you got to help me!」
「Hurry up!」
「Oh, my God. You get it.」(英語字幕より)
「the hell」は、「プラウダを着た悪魔」の中で紹介した「the hell out of」と同じように、強調で挿入されているだけと思われます。
「Your hair's different.」
「everything is different」
は「恋に落ちたシェークスピア」の
「It is a new day.」
「It is a new world.」
を思い出させますね。それほど煌めいた印象じゃありませんが。
「Sicily:シシリー」は「シチリア」のことです。
「love bite」はキス・マークですが、「愛の噛み跡」なんですね。なつかしい響きと言うと、おじさんになった証拠でしょうか。
「 Your life's going down the toilet! 」で「あなたの人生はトイレ向かって落ちているわ」はえらい表現ですね。
「いったいどうしちゃったの?」
「どこから始めていいのか本当に分からないの。」
「髪の毛が変わってるわ。」
「ママ、すべてが変わったの。」
「飲んでるの?」
「いいえ、ママは?」
「いいえ、でも二日酔いのようよ。」
「パパはどこ?」
「2階よ。ゆうべジョニー・カマレーリが現れたわ。」
「なに? 彼はシシリーよ。」
「いいえ、もうシシリーじゃないわ。」
「彼はシシリーで死にかけてる母と一緒よ。」
「回復したの。」
「死にかけてるの。」
「奇跡ね。」
「今は現代よ。もう奇跡なんてあり得ないわ。」
「どうやら、シシリーじゃ現代じゃないのよ。彼は空港からまっすぐあなたに話しに来たわ。首にキス・マークがあるわ。彼は今朝またやって来るのよ。どうしたの? あんたの人生はトイレに真っ逆さまよ。それを覆い隠しなさい。上から化粧するのよ!」
「わかったわ。ママ、オーケー、大丈夫! でも、助けてちょうだい。」
「急ぎなさい!」
ドアベルが鳴る。
「ああ、神様。出て。」
ねじれてどうかなりそうな恋愛のふたりに、おかまいなしに家族がからんできます。ロニーも家族を意識しているようです。
「ジョニーじゃない。」
「兄貴が?」
「来るのよ。」
「いい機会だ。ジョニーの弟、ロニーです。」
「ローズよ。」
「よろしく。」
「キス・マークが。お母様が回復よ。」
「そりゃすごい。一応、喜ぶか...」
「帰って。」
「あいさつに来た。」
「お願いよ。」
「オートミールは?」
「僕の大好物なんです。」
「いらないわ。ありがと。」
「ロニーよ。ジョニーの弟さん。」
「初めまして。今度はどうも...」
「奴の弟か。」
「見ないでよ。」(日本語字幕より)
「It's not Johnny!」
「Is Johnny here?」
「No, but he's coming.」
「Good. We can get this out on the table. Hi, I'm Ronny, Johnny's brother.」
「I'm Rose Castorini.」
「It's nice to meet you.」
「It's nice to meet you. Got a love bite on your neck. Your mother's recovered from death.」
「Good. We're not close. I'm not really moved.」
「You gotta get outta here.」
「I'm here to meet the family.」
「Really, you gotta get outta here.」
「Anyone want some oatmeal?」
「No, Ma.」
「Yes, Mrs. Castorini. I would love some oatmeal.」
「No, we don't want any oatmeal!」
「Take your coat off. Sit down.」
「Ma! What? This is a... Thanks, Ma.」
「You're welcome. Cosmo, this is Ronny, Johnny's brother.」
「It's very good to meet you. I have a feeling this is going to be just delicious.」
「You're Johnny's brother?」
「Yeah.」
「Don't look at me like that.」(英語字幕より)
ここで、「You gotta get outta here.」は、「You got to get out of here.」です。
ロニーは家族に会いに来たと言ってます。一方ローズさんは招かざる客と言えるロニーに対しても、朝食を勧めています。心の広い食卓です。いいですね。
「ジョニーじゃないわ。」
「ジョニーがここに?」
「いいえ、でも彼は来るわ。」
「いいだろう。このことを片付けられるだろう。ハイ、ロニーです。ジョニーの弟です。」
「ローズ・カストリーニよ。」
「お会いできて嬉しいです。」
「お会いできて光栄よ。首にキス・マークがあるわ。あなたのお母様は死から回復されたわ。」
「すごい。仲良くないんだ。ほんとはそんなに感動してません。」
「ここから出なきゃいけないわ。」
「家族に会いにここへ来たんだ。」
「お願い、出て行って。」
「どなたかオートミールはいかが?」
「いいえ、ママ。」
「はい、ミセス・カストリーニ。オートミールには眼がないんです。」
「いいえ、私たちはオートミールなんていらない。」
「コートを脱ぎなさい。座って。」
「ママ! 何? これは... ありがとう、ママ。」
「どういたしまして。コズモ、こちらはロニー。ジョニーの弟さんよ。」
「お会いできてうれしいです。とても楽しくなるという感じがしてます。」
「君はジョニーの弟さん?」
「ええ。」
「そんな風に私を見ないで。」
やはり、大切な話は家族の前で。そして、家族がそろうと言えば、食卓。まるで、にぎやかな刺繍を観ているかのように、家族がみんなの前に持ち込んでくる様々な事柄がさまざまな色の糸のように絡まりながら、しかし全体として平然と調和が保たれていることに、驚きを覚えます。
「どうかした?」
「私は老人だ。何を話しても、たわ言と思われているが、息子よ、これだけは言っとく。結婚式の費用は父親の義務だ。お前は片意地を張って、家庭を壊しとる。覚えとけ。」
「結婚するのなら払うよ。」
「それでいい。分かってくれたな。」
「食べよう。」
「私はいい妻? 浮気はやめて。」
「分かった。」
「ざんげに行って。」
「ある日、自分の人生が空しく思える。とてつもなく、つらい。」
「あなたの人生は空しくないわ。愛してる。」
「私もだ。」(日本語字幕より)
「Hi, Pop.」
「What's the matter, Pop?」
「I am old. The old are not wanted. And if they say it, they have no weight. But, my son, I must speak. You must pay for the wedding of your only daughter. You break your house through pride. There. I've said it.」
「It's okay, Pop. If she gets married, I'll pay for the whole thing.」
「Now you talking.」
「Let's eat.」
「Have I been a good wife?」
「Yeah.」
「I want you to stop seeing her.」
(「Okay.」)
「And go to confession.」
「A man understands one day that his life is built on nothing and that's a bad, crazy day.」
「Your life is not built on nothing.」(英語字幕より)
とても言いにくいことも、家族と分かち合う。それにはそれ相当の信頼がなくてはできませんよね。
「build on」で「当てにする、頼る」という成句がありますが、これに「頼る」までもなく、「彼の人生はなにもないところに建てられている」と訳せるので、大凡の意味は把握できます。
「やあ、おとうさん。」
「どうかしたの、とうさん?」
「わしは年寄りだ。年寄りは求められてるわけじゃない。もし年寄りがなにか言ったとて、重要なことはない。しかし、我が子よ、わしは言わなければならない。お前はお前の唯一の娘の結婚に金を払ってやらねばならん。お前は自尊心で自分の家を壊しとる。さあ。わしは言ったからな。」
「いいよ、とうさん。娘が結婚するなら、すべて払うよ。」
「そう、お前は言ったな。」
「さあ、食べよう。」
「私は良い妻だった?」
「ああ。」
「彼女に会うのはやめてもらいたいわ。」
コズモ、立ち上がり、机を強くたたく。
「オーケー。」
「そして、懺悔に行って。」
「ある日男は自分の人生に基盤がなにもないことに気がつく。そしてそれは不快で、腹立たしい日だ。」
「あなたの人生に基盤がないことなどないわ。Ti amo(ティアーモ:愛してる).」
「×△□、Ti amo.」
(英語字幕にはイタリア語の翻訳がなく、なにもなしで語られています。「ティアーモ」は「愛してる」で、ローズもコズモも言ってるようですが、コズモの最初の言葉は想像がつきません。)
肝心のジョニーはなかなか現れませんが、ロレッタがお金のことを思い出すまでの、カポマージ夫婦の不安そうな表情とそのあとの開放感など、とてもいい場面が続きます。
「ジョニーよ。」
「僕から話す。」
「何を話すの?」
「真実を話せば済むことさ。」
「そうね。」
「私の天使...」
「ロレッタ。」
「店番はいいの?」
「何か忘れてない?」
「銀行に行ってきた。」
「いけない。入金を忘れてた。」
「様子が変だったのよね。銀行へ行って、驚いたのなんのって...」
「コーヒーをいかが。」
「なぜ忘れた?」
「あとで話すわ。」
「座ってコーヒーを。」
「何してるの?」
「ジョニーを待っている。」
「ロニーです。」
「ジョニーの弟よ。」
「よろしく。リタよ。」
「ローズの兄の、レイモンドだ。」
「冗談も出んのか。」(日本語字幕より)
「It's Johnny. I'll get it.」
「I'll get it. I think I should tell him.」
「I'll tell him. What am I gonna tell him?」
「Tell him the truth. They find out anyway.」
「You're right, Pop.」
(「Hi.」)
(「Hi, Loretta.」)
(「Hi.」)
「Why aren't you at the store?」
「Do you have something you want to tell us?」
(「No.」)
「We just come from the bank.」
「Yeah? My God! The bank! I forgot to make the deposit!」
「She's got it!」
「I knew she had it!」
「We didn't know what to think.」
「I forgot!」
「It was so weird yesterday.」
「I know. I'm sorry. 」
「Then we went to the bank and no bag.」
「We never suspected you.」
「Would you anyone like some coffee?」
「Yes, coffee.」
「That's a good idea.」
「What's with this?」
「I'll tell you later. I forgot to make their deposit.」
「Here, sit down. Have some coffee.」
「So what are we doing?」
「Waiting for Johnny Cammareri.」
「My name's Ronny.」
「Johnny's brother.」
「Nice to meet you. I'm Rita Cappomaggi.」
「HI.」
「Raymond Cappomaggi, Rose's brother.」
「Someone tell a joke.」(英語字幕より)
今更ですが、「get it」で「(電話・ベルなどに)出る」意味となります。大リーグで外野の守備で覚えなくてはならないのは、この「I'll get it」・「I get it」のようです。「俺が取る」ということなんでしょうね。「ア、ガリ!」って聞こえるのでしょうか。
「make a deposit」で「預金する」という意味になります。
ここでもローズさんは、何か口を挟むということはせず、コーヒーを勧めています。コズモさんは、これまたなにを言うでもなく、ただ、娘に確かめているだけです。ふたりは大きくみんなを包み、迎え入れているようなのです。
「ジョニーだわ。私が出る。」
「俺が出る。俺が兄貴に話すべきだと思う。」
「私が話すわ。何を話せばいいのかしら?」
「真実を言いなさい。いずれ分かってしまうことだ。」
「そうね、パパ。」
「×△□、Ti amo.」(たびたびすみません)
「ハイ。」
「ハイ、ロレッタ。」
「ハイ。」
「どうしてお店にいないの?」
「なにか私たちに言いたいことない?」
「いいえ。」
「私たちは銀行から来たんだ。」
「ええ? ああ、神様! 銀行! 預金するのを忘れてた。」
「彼女、分かってたわ。」
「そうだと思ってたんだ。」
「どう考えればいいのかわからなくて。」
「忘れてしまったの!」
「昨日はとても変だったの。」
「そうよ。ごめんなさい。」
「それで、私たち銀行へ行って、バッグがないの。」
「私たちは決して疑わなかった。」
「どなたかコーヒーを召し上がる?」
「はい、コーヒーをお願い。」
「それはいいね。」
「なにがあったんだ?」
「あとで話すわ。預金するのを忘れたのよ。」
「さあ、座って。コーヒーを飲んで。」
「それで、みんな何してるの?」
「ジョニー・カマレーリを待ってるの。」
「俺の名前はロニーです。」
「ジョニーの弟さん。」
「よろしく。私はリタ・カポマージ。」
「ハイ。」
「レイモンド・カポマージ、ローズの兄だ。」
「誰かジョークをいわんか。」
とうとうジョニーさんご登場です。さあ、どうなっちゃんでしょうか。
「出るわ。」
「ジョニーが来た。」
「お待たせ。」
「ロレッタ。ロニー。私と和解を?」
「問題がある。」
「解決する。」
「どうしてお母様は回復を?」
「結婚の話をしたら元気に。」
「だろうね。」
「奇跡だ。」
「ジョニー、話があるの。」
「僕もだ。2人だけで。」
「家族の前で話を。」
「ロレッタ。結婚できない。ママが死ぬ。」
「私たちは婚約したのよ。」
「落ち着け。」
「約束について話してるの。」
「ママが助かったんだ。」
「42にもなって、まだママかよ。」
「お前は親不幸だ。」
「大ウソつき! 証拠は指輪よ。」
「返してくれ。」
「婚約は破棄ね。」
「一番いい方法だ。」
「あんたの葬式では着飾るわ。」(日本語字幕より)
「I'll get it.」
「I thought Johnny was in Palermo.」
「It's Johnny Cammareri.」
「(Loretta. Ronny!)Have you come to make peace with me?」
「Yes. But you may not want to.」
「Ronny, of course I want to.」
「But, Johnny, your mother was dying. How did she recover?」
「I told my mother we were to be married, and she got well right away.」
「I'm sure she did.」
「It was a miracle.」
「Thank God.」
「Yeah.」
「I have something I have to tell you.」
「And I have something to tell you, but I must talk to you alone.」
「I need my family around me now.」
「(Loretta,)I can't marry you.」
「What?」
「If I marry you, my mother will die.」
「What the hell are you talking about? We're engaged.」
「What are you talking about?」
「I'm talking about a promise. He propposed!」
「Because my mother was dying. Now she's not!」
「You're 42 years old. She's still running your life.」
「You are a son who doesn't love his mother!」
「You are a big liar! Because I have a ring right here.」
「I must ask for that back.」
「All right, the engagement is off.」
「In time you will see this is best.」
「In time you'll drop dead, and I'll come to your funeral in a red dress!」(英語字幕より)
「Palermo」はパレルモ。シシリー島の中心都市だそうです。
特に難しい表現はなかったですが、「あんたが死んだら、葬式には赤いドレスを着て来るわ」とは、すごい発想ですし、どうして怒りまくったときに、まわりくどい皮肉を言うことができるのか不思議です。とても楽しいですけど。
「私が出るわね。」
「ジョニーはパレルモだと思ったが。」
「ジョニー・カマレーリよ。」
「ロレッタ。ロニー! 私と仲直りしに来てくれたのか?」
「うん。でも兄貴は望まないかも。」
「ロニー、もちろん、おれは望んでる。」
「しかし、ジョニー、お母様は死にかけてると。どうやって回復したの?」
「母に私たちが結婚することを話したんだ。すると急に母は良くなったんだ。」
「確かにそうだと思うよ。」
「奇跡さ。」
「神に感謝を。」
「ああ。」
「あなたに言わなければならないことがあるわ。」
「私も君に言うことがある。だが、君と二人で話さなければならない。」
「私は家族にいてほしいわ。」
「ロレッタ、君と結婚できない。」
「なに?」
「もし君と結婚したら、母は死んでしまう。」
「いったいなにを言ってるの? 私たちは婚約したのよ。」
「なにを言ってるんだ。」
「私は約束について言ってるの。彼は結婚を申し込んだの!」
「それも母が死にかけてたからだ。もう母は死にかけてない!」
「兄貴は42にもなる。かあさんはまだあんたの人生をきりもりしてる。」
「お前は自分の母も愛していない息子だ!」
「あんたは大ウソつきね! 私にはここに指輪があるのよ。」
「それを返してもらわなくてはならん。」
「ええ、いいわ。婚約も破棄よ。」
「そのうち、君もこれがベストだと分かるさ。」
「そのうち、あなたが死んだら、あんたの葬式には赤いドレスを着て来るわ!」
結婚の申し込みなのですが、加えて家族の前で家族の一員となることを宣言する。あたたかい儀式ですね。
しかし、やっぱりローズさんは相手に惚れ込むことをよしとしていません。当分ローズさんの信念はゆらぎそうもありませんね。
「ロレッタ。結婚してくれ。」
「指輪は?」
「兄貴。それを。ロレッタ・カストリーニ。結婚して下さい。」
「あなたの妻になるわ。」
「愛してるの?」
「夢中よ。」
「困ったものね。」
「愛されている。」(日本語字幕より)
(「Loretta.」)
「What?」
「Will you marry me?」
「What?」
「Where's the ring?」
「(Johnny,)Can I borrow that ring? Thanks. Will you marry me?」
「Yes, Ronny. In front of a all these people, I'll marry you.」
「Do you love him, Loretta?」
「Ma, I love him awful.」
「God, that's too bad.」
「She loves me.」(英語字幕より)
「ロレッタ。」
「なに?」
「結婚してくれ。」
「なに?」
「どこに指輪があるの?」
「ジョニー、その指輪を借りれる? ありがとう。結婚してくれますか?」
「イエス、ロニー。これらの人々の前にて、あなたと結婚するわ。」
「彼を愛してるの、ロレッタ?」
「ママ、彼を恐ろしいほど愛してる。」
「神よ、それは良くないわ。」
「彼女は俺を愛している。」
「confuse」って、随分昔から「混乱する、困惑する」って知ってましたが、始めてはっきりと使われているのを聞きました。しかもこんなに分かりやすく。
「父さん。」
「混乱しとる。」(日本語字幕より)
「What's the matter, Pop?」
「I'm confused.」(英語字幕より)
さあ、みんな家族になりました。家族って、なにか足りない人たちの集まりなんですね。だから、多ければ多いほどお互いに補い合えるということなのでしょうか。家族という絆も完全なんかじゃないようです。欠点だらけでいいようです。
「さあ、君もみんなの所へ。」
「君も家族の一員なんだ。」(日本語字幕より)
「come. Your brother is her and you're...」
「I don't want any.」
「You're part of the family. Don't you realize? Come on, please.」(英語字幕より)
「part of」って、冠詞の「a」が付かなくていいのですね。ただ、形容詞がつくと「a」がつくようです。「a large part of 」ってね。
「アラ、ファミーリア!」って言ってるのでしょうか?
家族に乾杯!
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