「Fate had a pretty strange way of making its point.」(「普通じゃない」より)
MY DVD:「a life less ordinary:普通じゃない(1997年製作)」発売元:20世紀フォックスホームエンターテイメント ジャパン株式会社 FXBA-2772
確かに「普通じゃない」はおかしな、普通じゃない感じです。原題も「a life less ordinary」で、「常軌を逸した人生」とか「普通さの欠けた人生」という感じです。
冒頭場面はなにやら警察署のよう。しかし、白尽くめの衣装と建物。どうやら、ここにいるのは天使たち。「Chief of Police;警察署長」の部屋で、署長が「愛」が壊れて、離婚だらけの報告を嘆くところから、物語は始まります。
「愛」の警察署。上におわしますのは、「市長」ならぬ、「神様」のようです。
神様はあまりの軽率な愛に愛想を尽かし、愛の工作員に厳しい条件を与えます。つまり、どのような難しい状況でも、愛の成就を得ること。そして、そうでなければ、永遠に下界から戻ってこれないこと。
この初のミッションに選ばれたのは、テルロイ・リンドーとホリー・ハンター。署長は、「コマンド」でも紹介しましたダン・ヘダヤ。
とても結ばれるとは思えない下界の2人は、社長令嬢で美人だが、命を削るようなことでしか満足を得られなくなっているような危険な女性にキャメロン・ディアス。頼りなくて、うだつの上がらない青年にユアン・マクレガー。キャメロンのドケチな親父にイアン・ホルム。
けっこうなキャスティングです。
ユアンは、3流小説家を夢見る掃除夫。しかし、ある日それも解雇され、彼女からも愛想をつかれ、ビルの社長に怒鳴り込むことになります。一方、キャメロンの方は、金遣いの荒さが父親に知れ、一から働き直せと言い渡されます。ユアンは怒鳴り込んだ社長室で、キャメロンの非常識な助力から誘拐し逃亡することになります。
物語は下界のことに天使2人がからんで、なんでもありの、超ドタバタ・ラブ・コメディ。変わった映画です。
有名なのか、何か話題になったのか、パロディなのか、本の表紙をはっきり見えるように映しながら、恋愛小説というよりは官能小説のきわどい内容が紹介されます。
「JENNIFER HODGE Perfect Love」。「JENNIFER HODGE」という官能小説家は見あたりませんが、この映画の脚本は、「JOHN HODGE」となっているので、世の官能小説家が性や年を偽って名乗っていることを捩ったのかも知れませんね。とにかく、こんな機会はめったにないので、覗いてみますと。
「彼の吐息を聞きながら、かすかに彼女はほほえんだ。今や彼は彼女のなすがままなのだ。彼女は聞いた、「予定の便に乗るの?」彼女は彼を抱きよせた。最高の恋。燃えるような彼の体に、彼女は指をはわせた。かすかな吐息が。彼女は驚きと悦びであえいだ。彼女のふとももの奥深くで、引きしまった彼の肉体がはじけた。秘めたオアシスに残る愛の余韻に、燃えるような官能が。」(日本語字幕より)
「She heard his breathing become shallow, and a flicker of a smile chased across her lips as she meditated on the power she now held over him. "Are you sure you want to catch that flight?" She asked. She pulled him closer, deeper, unable to stop. This indeed was perfect love. ...cold, gloating gaze, she let her hand droop down towards the bulge of his passion. She heard his breathing become shallow. She gasped with surprise and delight. While her soul, like a light, erupted between her thighs as she sensed the firm, exploratory pressure of his warm flesh. In the hidden recess of her pelvis their bodies fused into one writhing mass of torrid, torrid sexual...」(英語字幕より)
「shallow」は「浅い」。「flicker」は名詞としては「ひらめき、点滅」などの意味がありますが、動詞として、「一瞬(顔などに)現れる」意があります。「flicker+across~」で「一瞬~に現れた」のような意味を持ちます。「A look of disappointment flickered across her face.」で「落胆の色が一瞬彼女の顔に現れた。」となります。
「meditate」には「瞑想する」意や「熟考する」という意味がありますが、「企てる」や「(~しようと)思っている」という意味もあるようです。
「hold over」で「(予定以上に)続ける、引き留める」。
「unable」は「できない」。
「indeed」は「本当に」と表現され、意味を強調するように使用されますが、この文のような使い方は辞書には見られませんでした。
「gloat」は「満足してながめる」、「gaze」は「注視、凝視」、あるいは「目線」。
「droop」は「垂らす」。「bulge」は「ふくらみ」、「passion」は「情熱」あるいは「情欲」。
「gasp」は「はっと息をのむ」。『SV+for O』の形で、「~を求めてあえぐ」。
「erupt」は「爆発させる」。「thigh」は「もも」。「firm」は形容詞で「堅い、堅固な、身の引き締まった」の意。「exploratory」は「探検の」。余談ですが、同じ語源の「explore」は動詞で「探検する」で、「explorer」はウィンドウズで使われている「エクスプローラー」と同じで、「探検家、調査者」の意。「warm」は「暖かな」、「flesh」は「肉」。
「hidden」は動詞「hide」の過去分詞形で、形容詞化したもの。「隠れた、隠された、秘密の」の意。「recess」は「奥まった部分」。「pelvis」は「骨盤」。「fuse into」で、「〈2つ以上のものが〉融合して〔1つに〕なる」の意。「writhe」は「身もだえする」。「mass」は「かたまり」。「torrid」は「熱烈な」。「sexual」は「性の、性欲の、性行為の」。
「彼女は彼の息が浅くなるのを聞いた。そして、今や彼女が彼を引き留める力があることを意識したとき、彼女の唇には微笑みが走った。「本当にその便に乗りたいの?」と彼女は訪ねた。彼女は彼をより近く、より深く引き寄せ、そして無抵抗にさせた。まさにこのことは完全な愛だった。..冷たく、満足げな視線で、彼女は彼の情欲のふくらみに手を垂らした。彼女は彼の息が浅くなるのを聞いた。彼女は驚きと悦びで息をのんだ。彼の暖かな肉体の堅くて、探るような圧迫を感じたとき、彼女の生命はふとももの間で、光の如くはじけた。彼女の骨盤の秘めたくぼみで、2人の体は融合し、ひとつの激しく燃え上がる官能の身もだえするかたまりとなった。」
とにかく、次のシーンの驚きを伝えたくて、これを書いてます。夜中にやってきた2人を怪しいと思った隣人が訪ねてきたとき、キャメロンは新婚あつあつの新妻を装って、裸体をシーツでくるまって戸口に顔を出します。このときのキャメロンの表情。見ているだけで、溶けてしまいそうになります。
「私たち新婚なの。ベッドに戻って、ダーリン。」(日本語字幕より)
「We're newlyweds. Are you coming back to bed soon, darling?」(英語字幕より)
テルロイがユアンの代わりに、勝手にキャメロンに出した詩の手紙。
これまた、めったにない機会なので、味わってみます。
「去っておくれ、孤独よ
恋人を返して
離ればなれは、青空もむなしい
君のほっそりした手足
君の指先のやさしさ
でも何よりも僕が好きなのは君の
(読めないわ)
(最後まで読ませて)
花が咲き誇り
やがて実を結ぶように
どうか僕のために息子を産んで」(日本語字幕より)
「Oh, desert me,
wretched loneliness,
and bring me back my love,
for she and I have parted,
and the sky is up above.
Your limbs so svelte and slender,
your touch so soft and tender.
But the bits that I like best
are the bits that
( I'm not going to read that line.)
(Please. Last verse.)
Just as the flowers blossom in the gaze of the shining sun,
I would be most honored if you would bear my son.」(英語字幕より)
「desert」は「見捨てる、放棄する」。「wretched」は「哀れな、惨めな」。「loneliness」は「孤独」。
「love」は『one's love』という形のように、所有格の次に置かれると「恋人、愛人」という意味になるようです。「bring back」で「返す」。
「part」は自動詞として「別れる、離れる」。「for」は(原因・理由)を表しているものと思われます。「up」は「上がった」。「above」は副詞として「上に、頭上に」。
「limb」は「手足」。「svelte」はフランス語から「ほっそりした」。「slender」は「すらりとした」。「touch」は「感触」。「tender」は「きゃしゃな、優しい」。
「bit」は「小部分」。
「last」は他動詞として「終わりまで持つ」。「verse」は「詩歌、詩作品」。
「blossom」は「開花する、実を結ぶ」。「gaze」は名詞として「注視、凝視」の意ですが、動詞として「(賞賛・驚きの感情、興味をもって)じっと見つめる」という意味があります。「be honored」で「光栄に思う」。「bear」は「産む」。
「ああ、立ち去れ、哀れな孤独よ。
そして、恋人を私に返しておくれ。
彼女と別れてからというもの、空は頭上高く離れてしまった。
君の手足は、とてもほっそり、そしてすらり。
君の感触は、とても柔らか、そしてやさしい。
でも私が最も好きなところは、小さなつぶのような...
(この行は読まない。)
(でもお願い、詩の最後まで読ませて。)
輝く太陽に育まれて、花が実を結ぶように、
君が私の息子を産んでくれたら、これほどの光栄はないだろう。」
フィナーレはなぜか、恋愛うんちく。これもめったにお目にかかれないので、ご紹介します。
「成功した関係は、天国が決めたものなの? 日々の暮らしの中で、2人が見いだすものでなく?」
「”成功した関係”なんて言うなよ、”愛”だろ。愛は神秘的な所から訪れる。」
「愛とは、物理的な必然性を感情的な言葉で表したものじゃないの?」
「ぜんせん。」
「ほんとうに?」
「運命が人生を変えるんだ。」
「私たちもそうね。」
「運命が僕らを結びつけてくれた。僕らは運命の2人。」
「運命は変わった方法でやってくる。」
「だから、素晴らしい。説明も、予測もできず、支配することも、理解もできない。」
「撃たれたわ。」
「でも死ななかった。いま一緒にいる。」
「不思議な出来事を証明する方法は?」
「ない。」
「普通ではありえない事と思う?」
「もちろん。」
「じゃ、なぜ信じるの?」
「僕は夢追い人だからさ。」
「それは私も同じだわ。」
「いいかい?」
「もちろん。」
「行こう。」(日本語字幕より)
「So you're telling me that successful relationships are made in heaven? Not founded on the daily practicality of 2 people being prepared to tolerate the imperfections of one another?」
「It's not successful relationships, Celine. It's love. And it comes from a strange and wonderful place that we don't know about.」
「So then you also reject the idea that love is merely an emotional adaptation to a physical necessity?」
「Completely.」
「Are you serious?」
「Fate intervenes in people's lives.」
「In ours, for instance.」
「Fate bought us together. It kept us together. We were destined for one another.」
「Fate had a pretty strange way of making its point.」
「But that's part of the beauty of it. It's inexplicable, unpredictable and absolutely beyond control or understanding.」
「But you nearly got killed.」
「But I didn't, and here we are.」
「Do you have any substantial evidence to back all of this?」
「None at all.」
「And you realize that it's absurd and irrational?」
「I know that.」
「Then why do you believe it?」
「Because, Celine, I'm a dreamer.」
「Well, I guess that makes 2 of us.」
「Are you ready?」
「As I'll ever be.」
「Then let's go.」(英語字幕より)
「practicality」は「実際的なこと、実際(実用)的なもの」。「prepare」は「準備する、覚悟する」。「tolerate」は「許容する、耐える、我慢する」。「imperfection」は「不完全さ、欠陥」。「one another」は「互い(に)」。
「reject」は「拒絶する、はねつける」。「idea」は「考え、見解」。「merely」は「たかが〜にすぎない」。「emotional」は「感情の、感情的な」。「adaptation」は「改造、改作」。「physical」は「肉体の、物理的な、自然の」。「necessity」は「必要性」。
「completely」は「完全に」。ここでは、「I completely reject.:私は完全に拒絶する」の意。
「serious」は「本気で」。
「fate」は「運命」。「intervene」は「干渉する」。「for instance」で「例えば」。
「bring together」で「(人を)接触させる」。「destine」は通常受け身(be + 〜d)で使用され、この場合は「〈人が〉〔を受ける〕運命にある〔for〕」の意。
「pretty」は「かなり、非常に」。「strange」は「奇妙な、不思議な」。「way」は「やり方、方法」。「make one's point」で「言い分を立証する、考えを述べる」の意。
「the + beauty」で「美点、長所、利点」。「inexplicable」は「説明のつかない、解釈しがたい」。「unpredictable」は「予測できない、意外性のある」。「absolutely」は「完全に、まったく」。「control」は「支配する、操作する」。
「substantial」は「実質的な、本質的な、内容のある」。「evidence」は「証拠」。「back」は動詞として、「支援する、裏打ちされる、の背景になる」。
「realize」は「悟る、はっきり理解する」。「absurd」は「常識に反した、理屈に反する、不条理な」。「irrational」は「不合理な、ばかげた」。
「それで、あなたは成功した関係は天国で準備されたと言おうとしてるの? 互いの不完全さを我慢するよう覚悟を決めた2人の人間の日常的実際の中には見いだせないと?」
「それは、成功した関係なんかではなく、セリーン。それは愛さ。そして、それは我々が知らない、不思議ですてきなところから来るんだ。」
「ではあなたは、愛はたかが肉体的な必要性を感情的な言い換えであるということも拒絶するのね?」
「まったくね。」
「本気なのね?」
「運命が人々の人生を左右するのさ。」
「私たちのが、その例だわ。」
「運命は僕たちを結びつけた。それは僕たちを結び続けたんだ。僕たちは互いに運命づけられたんだ。」
「運命は、言い分を立証するのに随分奇妙な方法を使ったわ。」
「しかしそれがその美点でもあるのさ。それは説明もつかず、予測不可能で、まったく支配や理解を超えている。」
「でも、あなたはもう少しで殺されるところだった。」
「しかし殺されなかった。しかも僕たちはここにこうしている。」
「これらすべてを裏打ちする実質的な証拠はなにかあるの?」
「まったくないよ。」
「それが非常識で、不合理なことは分かっているの?」
「分かっているよ。」
「じゃ、どうして信じるの?」
「なぜなら、セリーン、僕は夢を追う人間だからさ。」
「そう、私もそれが私たち2人を結びつけたと思うわ。」
「用意はできてる?」
「いつだってOKよ。」
「じゃ、行こう。」
こうして、恋愛の「官能」、「ポエム」、そして「観念」の3種類を味わうことができました。あたかも恋愛の逆の手順を踏んでいるかのようでしたが。愛が成就しているから、この順番で良いでしょうが、そうでないと最後に頭でっかちで終わるのは後に響くかも知れませんね。
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