「How far can bullets go?」(「クラッシュ」より)
MY DVD:「CRASH:クラッシュ(2005年製作)」発売元:東宝 TDV17038D
残念ながら、このDVDには英語字幕がありません。インターネット上で見つけた英語のセリフを参考にしています。
単語「crash」は「衝突」あるいはそのときの「すさまじい音」を意味します。まずは車同士の衝突がイメージされます。
しかし、ここで紹介されるいくつかの物語は、車の事故ばかりではありません。それぞれの事件を巡って、被害者が加害者でもあり、加害者が救済者でもあるような、思いやりと反目、正義と不正が交差する、心の交差点の事故を扱っています。
この映画の卓越した観点は、人と人の傷つけ合いは、まさに衝突であり、交通事故のようなものだとしたところです。それは本来誰もが防ぐことができる上に、意図したものでなく、誰もが望んでいないにも関わらず、一向に減らないもの。同時に、人種のるつぼと言われて久しいアメリカに根深く築かれた人種の壁が、明らかな差別行為ではないが、しかし人々の意識にしみ込んでいる不信が、見事に表現されています。
人のなんと簡単に傷つけることか。人のなんと簡単に傷つくことか。助け合うのになんと多大な勇気と愛が要ることか。
そして、物語は、それらが織物の糸のように、織り込まれながら、あるいは絡まりながら、衝撃的で、感動的な、思いも寄らない「衝突」に突き進みます。
いくつかの物語が集まっていますが、その中でも主人公と言えるドン・チードル演ずるグラハムは、刑事。黒人。弟の失踪という家庭事情をかかえて、母親とのあいだに、弟のことを巡って、思いの行き違いが絶えません。
グラハムと同じく刑事で、女性のライア。2人は事件の現場近くで、後続の車に追突される。唐突にグラハムは、映画の主題を思わせる言葉を並べる。グラハムには、車の衝突する衝撃や音が、運転する人間の渇望する声のようなものに聞こえたのかも知れません。
「触れ合いだよ。」
「何のこと?」
「街中を歩けば、よく人と体がぶつかったりするだろ? でも、ロスじゃ、触れ合いは皆無。人は、たいてい車の中にいる。でも触れ合いたいのさ。」(日本語字幕より)
「It's the sense of touch.」
「...What?」
「Any real city, you walk, you know? You brush past people. People bump into you. In L.A., nobody touches you. We're always behind this metal and glass. I think we miss that touch so much that we crash into each other just so we can feel something.」
「触れ合いの価値さ。」
「何?」
「実際に街を歩けばさ。君も通りすがりに人と触れたり、人もぶつかってきたりするだろ? ロスじゃ、誰も君に触れてこない。みんな、いつも金属とガラスの内側に隠れてる。思うに、あまりに触れ合いが恋しくて、何か感じられるのじゃないかと互いに衝突してしまうんだ。」
グラハムは、刑事としてそんな人々の衝突に入って行っては、結末を見いだしていました。ただ、弟のことだけには無関心だったのです。彼はその無関心を母から断罪されることになります。そのときのグラハムの複雑な表情は忘れることができません。
キム・リー。中国系の女性。グラハムとライアの車に追突。その激しい口調に、不信による怒りが燃えているようです。
「このメキシコ女が、いきなり急ブレーキを。」(日本語字幕より)
「Stop in middle of street! Mexicans no know how to drive! She blake too fast!」
「道の真ん中に止まって。メキシコ人、運転、仕方知らない。この女、急にブレーキした。」
このように他者を強く否定するのは、弱い自分の裏返しなのでしょうか。また、有色人種同士の反目を表すかのような、彼女の発言も社会のひずみを物語っているのかも知れません。しかし彼女は、事故で病院に運ばれた主人のもとへ急いでいたのです。
ダーク。白人。彼の銃砲店で、ペルシャ人のファルハドと娘ドーリが銃をめぐって言い争っている。
耐えかねたダーク。不快感を顕わにします。
「オサマ。聖戦の相談なら、あとにしろ。」(日本語字幕より)
「Yo, Osama! Plan the Jihad on your own time. What do you want?」
「おい、オサマ。自分の時間にジハダの計画をしろ。何がほしい?」
同様に。
「貴様たちの泥小屋に、ジェット機で突っ込むぞ。」(日本語字幕より)
「Yeah, I'm ignorant. You're liberating my country. And I'm flying 747s into your mud huts and incinerating your friends. 」
「ああ、無礼だとも。この国を解放してるとも言うのか。きさまの泥小屋に747突っ込んで、同胞を焼き殺してやる。」
言わずと知れた、9.11テロ事件のショックが影を落としています。
ダークは見当違いな相手に、侮辱の言葉をかけていることに気がつきません。言葉の壁が心の壁を増長させているのです。
ファルハドは家族を養うため、店を切り盛りして、ずっと頑張ってきたのですが、店に押し入ってきた者に危うく家族の命を奪われそうなったのです。彼の苛立ちはずっと収まることはありません。さらなる事件に襲われ、彼はやり切れない思いをします。そして、彼の怒りは大きな過ちを犯すまで続くことになります。そのとき、彼の目の前に天使が現れます。彼は天使に感謝します。それを娘のドーリに話すことになるのですが、彼にはドーリこそが天使だということが分かりません。そしてそのドーリこそは真に神に感謝してることでしょう。
アンソニーとピーター。高級ショッピング街に不似合いな黒人の2人。実は車強盗を企んでいる。
アンソニーは不当に扱われたことを並べ立てます。あたかも彼が企てていることが正当である証拠を見つけたかのように。
「スパゲティを1時間32分待たされた白人がいたか? コーヒーも来ない。」
「コーヒー飲まねえくせに。」
「あのウエイトレス、白人には何杯もお代わりを注いでたぜ。」
「頼まなかったくせして、人種差別はねえだろ? 彼女、黒人だった。」
「黒人女は差別しねえのか? なら聞くが、人を外見で判断しない女を1人でも知ってるか? あの女、俺らを見てチップを払わねえと、2秒で即決したぜ。やつらの意識は変わらねえよ。」
「チップ置いたか?」
「あんなサービスでか?」(日本語字幕より)
「Did you see any white people waitin' an hour and thirty two minutes for a plate of spaghetti? And how many cups of coffee did we get?」
「You don't drink coffee and I didn't want any.」
「Man, that woman poured cup after cup to every single white person around us. But did she even ask you if you wanted any?」
「We didn't get any coffee that you didn't want and I didn't order, and that's evidence of racial discrimination? Did you notice that our waitress was black?」
「And black women don't think in stereotypes? You tell me. When was the last time you met one who didn't think she knew everything about your lazy ass before you even opened your mouth, huh? That waitress sized us up in two seconds. We're black, and black people don't tip. She wasn't gonna waste her time. Somebody like that? Nothing you can do to change their mind.」
「How much did you leave?」
「You expect me to pay for that kind of service?」
「ひとつのスパゲティを1時間32分も待つ白人を見たことあるか? おまけに、いったい何杯コーヒーもらった?」
「あんたはコーヒー飲まないし、俺も欲しくなかった。」
「おい、あの女、俺たちの周りの白人一人一人に何杯もコーヒー注いでた。だが、俺たちに欲しいかどうかさえ聞かなかったぞ。」
「あんたが欲しくもなく、俺が注文もしなかったコーヒーは来なかった。それが人種差別の証拠だって? あのウエイトレスが黒人だって気がつかなかったとでも?」
「黒人女は、そんな固定観念にとらわれないって? 言ってくれ。彼女が、お前が口を開く前にそのだらしなさを皆見抜いてしまうんだと考えてない人間に会った最後はいつだ? あん? あのウエイトレスは2秒で俺たちを値踏みしたのさ。我たちは黒人。黒人はチップを払わない。あいつは時間を無駄にすまいとしたのさ。そんなやついるだろ。あいつらの心を変えるためにお前にできることは何もない。」
「いくら置いてきたんだ?」
「あんなサービスに俺が支払うなどと期待してるのか?」
彼らは銃を取り出し、目に入った獲物に飛びかかります。愚かな行為です。二人はその後、ほんのちょっとの差で、まったく違った運命を手にすることになります。二人に関わるのは後に登場する若い警官ハンセン。ハンセンはただ一生懸命生きようとしただけなのかも知れません。しかし、二人の人間の運命に大きく関わり、自らも大きな分岐点に立たされることになります。
ジーンとリック。白人の夫婦。黒人ピーターとアンソニーに襲われ、車を奪われた後。
ジーンはとても傷ついています。夫と共にいるのに、しかし孤独の中で戦っているかのようです。家の鍵を車と共に奪われたため、鍵を交換させているが、交換を行っている作業員、ダニエルの容姿が気に入りません。
「朝にもう一度、鍵をすべて交換して。今度はギャングをよこすなと言って。」
「ギャング? あの若者が?」
「スキンヘッドに、囚人のタトゥーよ。」
「囚人じゃない。」
「家を出たとたん、合い鍵を売るわ。」
「2階へ行って休んだ方がいい。」
「強盗を待つの?銃を突きつけられたばかりなのよ。」
「声が大きい。」
「私が軽率だったせいよ。でも黒人の2人を避けようとしたら、人種差別なの? 怖くて黙ってたら、10秒後に銃で脅されてた。あの男は仲間に必ず合い鍵を売るわ。そうなってから騒いでも、手遅れよ。」(日本語字幕より)
「I would like the locks changed again in the morning. And you might mention that we'd appreciate it if next time they didn't send a gang member.」
「A gang member? You mean that kid in there?」
「Yes. The guy with the shaved head, pants around his ass, prison tattoos.」
「Those are not prison tattoos!」
「Oh, really? And he is not gonna sell our key to one of his gang-banger friends the moment he's out our door?」
「We've had a really tough night. I think it'd be best if you just went upstairs...」
「And what? Wait for them to break in? I just had a gun pointed in my face!」
「You lower your voice!」
「And it's my fault, because I knew it was gonna happen! But if a white person sees two black men walking towards her and she turns and walks the other direction, she's a racist, right? Well, I got scared and I didn't say anything. And ten seconds later I had a gun in my face! Now I'm telling you. Your amigo in there is going to sell our key to one of his homies! And this time it'd be really fucking great if you acted like you actually gave a shit!」
「S + would + appreciate + it + if you could ~」の形。「~していただければ幸いです。」の意。このときの「it」は「if」以下の内容を受け、省略できないそうです。セリフではif節に「could」が使われず、「didn't send」となっており、お願いというより要請の感じになっているようです。
「gang-banger」は「不良グループの一員、チンピラ」
「racist」は「人種差別主義者」。
「amigo」はスペイン語で、「友達」の男性形。
「homies」は「homy」の複数形。「homy」は、または「homey」で、「友達、同郷者」。
「give a shit」で「気にかける」。
「朝にもう一度、鍵を交換し直して欲しいの。それに次は、ギャングを送り込まなければありがたいと言ってくれるわね。」
「ギャングだって? あの若者のことか?」
「そうよ。あいつ。剃った頭に、尻まで下げたパンツ、囚人の入れ墨。」
「あれは囚人の入れ墨じゃない。」
「あら、そうかしら。じゃあ、彼はここのドアを出たとたん、チンピラ仲間の一人に私たちの鍵を売るつもりはないのね?」
「二人ともとてもイヤな思いをした夜だった。思うに、上で休むのが一番だと...」
「それでなに? 入り込んで来るのを待つの? 私はたったさっき銃を顔に突きつけられたのよ!」
「声を抑えて!」
「私のせいよ。だって、そうなると分かってたんですもの。でも、白人女性が2人の黒人男がこっちに歩いて来るのを見て、向きを変えて、違う方向に歩いたら、彼女は人種差別主義者なの? ええ、私は怖くて、何も言えなかったわ。そして10秒後には、顔に銃を向けられたわ! あのアミーゴは同郷者に家の鍵を売るつもりだわ! 今度はちゃんと注意を払ってやってくれるんなら、そりゃ最高よ!」
ジーンはまだパニック状態のままです。真の安全と静寂を必要としています。彼女が今癒されないでいるのは、鍵の作業員、ダニエルの仕事ぶりではなく、ただ容姿だったようです。スキンヘッドに、だらしない服装。そして入れ墨。ダニエルはこの後、ファルハドのドアの鍵を修理するときにも、不当に信頼されませんでした。しかし、異文化が混ざり合い、新しい世代の文化が次々に誕生するアメリカと言えど、ダニエルの容姿は信頼を得るものとはちょっと違っているのでしょう。
とにかく、ジーンは癒されません。しかしこのあと、ジーンはこの事件とは関係なく毎朝苛立っていたことを思い出します。苛立つことばかりが起こっていたはずだったのに、実は自分が苛立っていただけだと。そしてそのことを真剣に聞いていくれる友もいないことも。彼女を襲うもう一つの事故で、彼女を救うのは、日頃口やかましく叱ってるメイドのマリアでした。
リックは、LAの検事。スタッフのカレンとブルースのいる居間へ。黒人の支持を気にしています。
「ダメージを防ぐんだ。黒人に勲章をやって、それを写真に撮ろう。ブルース。キャンパーたちを助けた消防士がいたな?」
「イラク人です。」
「イラク人? 黒人に見えたぞ。」
「イラク人です。名前はサダム・カフーム。」
「サダム? いいぞ、ブルース。イラク人に勲章をやるところだった。昇給してやる。」(日本語字幕より)
「All right. If we can't duck this thing we're gonna have to neutralize it. What we need is a picture of me pinning a medal on a black man. Bruce? The firefighter. The one who saved camp or something. Northridge. What's his name?」
「He's Iraqi.」
「He's Iraqi? He looks black.」
「He's dark-skined, sir, but He's Iraqi. His name is Saddam Khahum.」
「Saddam? His... His name's Saddam? That's a real... that's a real good, Bruce. I'm gonna pin a medal on an Iraqi named Saddam. Give yourself a raise, will you?」
「duck」には「(頭などを)ひょいとひっこめる」意があって、「かわす、のがれる」意味で使われています。「neutralize」は「効力をなくす、無力化する」の意。「pin」は、動詞となって、「ビンで留める」。勲章のバッジをつけてあげることを意味するようです。「camp」は「キャンプ場」ですが、「キャンプする人々」という意味も持っています。ここで日本語字幕に「キャンパーたち」という言葉が出てきているのは、オリジナルの脚本に、「What about that fire fighter who saved those campers in...」とあるところから来ているように思えます。「Northridge」はロサンゼルスの郊外にある住宅地の名。
「よし。事から逃られないなら、影響を消すことだ。我々が必要なのは、黒人に勲章を授与する写真だ。ブルース? キャンプか何かを救った人間。ノースリッジだ。名前はなんと言った?」
「彼はイラク人です。」
「イラク人だと? 黒人に見えたが。」
「肌は黒いですが、彼はイラク人です。彼の名は、サダム・カフーム。」
「サダム? 彼の、彼の名はサダム? それはまったく、それはまったくいいぞ、ブルース。俺はサダムという名のイラク人に勲章を与えようとしている。昇給を手にしたな、そうだろ?」
視聴者として、事細かく反応する必要もないでしょうが、例えイラク人でも、名がサダムとしても、尊敬すべき行為を行った人なら、表彰の対象に挙がって当然と思います。少なくとも、黒人の表彰者を捜していたとは言え、苛立ちを顕わにするほどのことではなかったかと。逆に、ブルースがその立派な人物がサダムというイラク人だとはっきり覚えていたことは、その動機がなんであれ、良かったと思います。
そもそも、人々の目先を変えて、事を穏便に済まそうとするのは、人を少々見下しているような行為で、褒められたものではない感じです。紹介しなかったジーンとリックの会話に、「You know, didn't I just ask you not to treat me like a child?」:「ねぇ、私を子供扱いしないでと言わなかった?」というのがありました。検事という職業の中では長所となる部分でもあるでしょうが、同時にその裏返しとしての欠点を増長してしまってるのかも知れませんね。
ライアンとシャニクア。ライアンは白人。警官。父親の病気のことで電話をかけている。
「今夜はどうやって寝る?」
「私は医者じゃありません。」
「責任者を出せ。」
「私が責任者です。」
(「名前は?」)
「シャニクアです。」
「アフリカ人のクソ女か。」(日本語字幕より)
「What does my father do about sleeping tonight?」
「I don't know. I'm not a doctor.」
「I want to speak to your supervisor.」
「I am my supervisor.」
「What's your name?」
「Shaniqua Johnson.」
「Shaniqua? Big fucking surprise that is.」
最後は、「シャニクア? どえらい驚きだなそれは。」って言ってるだけのようですが、日本語字幕のような内容と同等なのだろうと察するばかりです。後のシーンから、ライアンの父親は、事業主として黒人たちを良い条件で雇用していたが、新しい保護法令で、かえって破産に追い込まれたようです。
彼の屈強な精神は、不幸にも、幸福な黒人に対する敵意として働いてしまったようです。その後、若い警官ハンセンと出かけたライアンは、手配がかかった、アンソニーとピーターの起こした事件とは関係のない、黒人だが裕福な、夫婦キャメロンとクリスチーネの運転する車を追いかけ、止めます。
ライアンは、キャメロンを車から出させるが、酔ったクリスチーネに矛先を変え、女性には凶器の特別な隠し場所があると、陰湿な取り調べを行うのでした。しかしそれはまた、運命的な出会いでもあったのです。
鍵の修理屋、ダニエルの家。幼い娘のライラちゃんは、過去に銃で怖い思いをしたらしく、引っ越しをした今でも、とても銃に怯えているようです。
ダニエルが娘の部屋をのぞきますが、ベッドに姿はありません。かがみ込んで、ベッドの下を見ると、そこに彼女が横になっています。
「どうした?」
「何でもない。」
「押し入れに怪物がいるのか? パパ、苦手なんだ。」
「怪物はいないいわ。」
「よかった。」
「バン!て音が。」
「車の音?」
「銃みたいな音。」
「おかしいな。安全な所に越したから、しないはずなのに。」
「弾は遠くまで飛ぶ?」
「飛ぶけど途中で、何かに当たって止まるよ。」
「止まらなかったら?」
「前の家に飛んできた弾のこと? (ライラ、肩をすぼめる)見つからなかった。」
「私、おふとんの中に隠れていたから。」
「あの時の弾が、また飛んできたって? また引っ越す?」
「ここが好き。」
「パパもさ。でも弾は怖い。待てよ。」
(「何?」)
「こんな大事なこと、忘れるなんて。」
「なあに?」
「信じないさ。」
「お話しして。」
「そっか。パパが5つの時、妖精を見たんだ。」
「ホント?」
「ほら、信じない。もうおやすみ。」
「お話しして。」
「いいよ。パパは言ったんだ、”ふうん、妖精ね”って。あちこち飛び回るから、部屋がメチャクチャ。」
「飛んでたの?」
「背中に小さな羽がついてた。パパが疑うから、”証明するわ”って言って、透明マントを取り出した。それをパパに着せると、”何も通さない”って言ったんだ。分かるかい?(ライラ、首を振る)弾も何も通さない透明マントさ。それを着てれば、ケガしないって。だからパパは、ずっと無事でこられたんだよ。すごく不思議だろ? でも、娘が5つになったら、譲る約束をしたんだ。」
「触っていい?」
「いいよ。」
「感じない。」
「すごいだろ? よかったら着せてやるよ。信じるならね。」
「要らないの?」
「もうパパはね。欲しいかい?(ライラ、微笑んでうなずく)じゃあ、おいで。(ライラをベッドの上に座らせる)あごを上げて。きつくない? 着てる感じは?(ライラ、首を振る)それでいいんだ。(キスをして寝かせる)」
「お風呂の時は?」
「つけたままで。でも、娘ができて5つになったら、譲ってやるんだよ。」
「分かった。」
「(もう一度キスをする)おやすみ。」
(「おやすみ。(透明マントをなでている)」)
(ダニエルを呼ぶポケットベルが鳴る。)(日本語字幕より)
「How's it goin'?」
「Okay.」
「You didn't get scared or something, did you? There's no monsters in the closet, right? 'Cause I hate monsters.」
「There's no such thing as monsters.」
「Ah, that's a good thing.」
「I heard a bang.」
「Like a truck bang?」
「Like a gun.」
「That's funny, 'cause we moved outta that bad neighborhood. And there's not too many guns around here.」
「How far can bullets go?」
「They go pretty far. But they usually get stuck in something and stop.」
「What if they don't?」
「You thinking about that bullet that came through your window? We never did find it, did we? 」
「I think it didn't see me, `cause I was under the covers.」
「And you think it was that same bullet you heard tonight? You think we should move again?」
「I like it here.」
「Me too. But if that bullet found out where we lived... Oh, hold on.」
「What?」
「So stupid! How can I forget this?」
「What?」
「Nah. Forget it. You ain't gonna believe me.」
「Tell me.」
「Okay. When I was five, this fairy came into my room one night.」
「Right.」
「See, I told you you weren't gonna believe me. Okay, go to sleep now, you little rat.」
「No, tell me.」
「Okay. So this fairy comes into my room and I'm like, "Yeah, right, you're a fairy." Anyway, we're talking, you know. And she's flying all around the room, knocking down all my posters and stuff.」
「She was flying?」
「She had these little stubby wings. She could've glued 'em on, you know? Like I'm gonna believe she's a fairy. So she said, "I'll prove it." So she reaches into her backpack. And she pulls out this invisible cloak. She ties it around my neck, and she tells me that it's impenetrable. You know what impenetrable means? It means that nothing can go through it. No bullets. Nothing. She told me that if I wore it, nothing would hurt me. So I did. And my whole life, I never got shot, stabbed. Nothing. I mean, how weird is that? Only she told me that I was supposed to give it to my daughter on her fifth birthday. And I forgot.」
「Can I touch it?」
「Sure, go ahead.」
「I don't feel it.」
「Yeah. It's pretty cool, huh? I can take it off and tie it around your shoulders. She told me how to do it. Unless you think it's stupid.」
「Don't you need it?」
「No, not anymore. So what do you think? You want it? Okay, let's get outta here.」
「Okay.」
「Put your head up. Okay. Is that too tight? Do you feel anything at all? Good. Then it's just right.」
「Do I take it off when I have a bath?」
「No, you leave it on all the time. Until you have a daughter when she turns five, then you give it to her. Okay?」
「Okay.」
「Okay. Good night, sweetie.」
「Good night.」
長い会話ですが、幼い子供とのこともあって、翻訳するほどでもなさそうです。ただ、妖精のお話を切り出して、娘が疑ったとき、「Okay, go to sleep now, you little rat.」と言ってます。この最後の「rat」にすてきな意味は辞書からは見あたりません。「rat」は「裏切り者」という意味も持つようですから、ねだったくせに疑ったという意味の「小さなかわいい裏切り者さん」といったニュアンスじゃないかと思います。このお話の中の「透明マント」は、実はライラちゃんにとってとても大切なものになっていることが、後ほど分かることになります。実はそれが必然となる他の伏線があるのですが、とにかく大きな奇跡が生まれます。
ここまでは物語のほんのはじまり。さらに意外な展開を見せながら、「衝突」によって引き起こされる破壊と、「衝突」によって導かれる融合の、それぞれのダイナミックな結末を見せてくれます。
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